お昼は行列が出来て整理券をもらって並ばないと、食べられないと言う蕎麦屋の亭主の話には深い内容がありました。一杯の蕎麦に命を懸けて麺・スープは自信の極みの一杯を出し続けた。開店の一ヶ月は満員 満員の毎日だった。しかし、ものの一二ヶ月も過ぎると客足は途絶えてしまった。来る日も来る日も客は来ない日が続いた。もう店を閉じようかと考えていたある日一人のお客がおとずれる。
そのお客から諭されたことは真剣なのはいいが、お客に無愛想で食べなさいでは駄目の皮であるということである。
どこに行っても良い自由があるなかでよくぞよくぞ私のお店に来てくださいましたと全身全霊・魂から一人一人のお客様に「有り難うございます」と感謝出来ていますかと。
亭主は目の前の人が見えて居なかったのである。ハンマーで叩かれたようなショックを受けた亭主ははじめて正気に返った。
そこから初めて原点に戻った亭主のお店に本当の豊かさが実現していったのでした。